【失敗しない就活の軸②】自己分析をもとに業界を選ぶな

こんにちは!
「就活の軸」とは、業界や会社を絞る際の「自分なりの基準・条件」や「譲れない条件」のことです。
今回は、就活で業界や会社の絞り方を考えるとき自己分析は本当に役にたつのか?をご紹介します。

【関連情報】

【失敗しない就活の軸①】好きな業界から選ぶな

【目次】

その自己分析は業界の絞り方に本当に役立ちますか?

自己分析は業界や企業を決めるために大切ですよね? 先日読んだ、就職本にそう書かれていました。

就職先を選ぶための自己分析ほど無意味なものはありません。


自己分析に意味がない理由は、多くの学生が自己分析で「自分の強み」だけを見出し、それを活かせる業界や企業を選ぼうとするからです。


自己分析で見つけた「自分の強み」をアピールして入社できて、実際の仕事に活かせたらすごくうれしいと思いますが……。

自己分析で出した「自分の強み」が、実際の仕事に活かせるとは限りません。
むしろ「自分はこんな強みがあると面接で言ったのに、まったく活かしてくれないじゃないか!」という不満につながりかねないのです。


【事例】上場企業の某英会話学校でエリアマネージャーをしていたTさんの場合

かつて英会話学校で勤務していたTさん。彼いわく、英会話学校を志望する人の多くがこのように自己分析しているようです。

TOIEC800点以上を取ったこともあり、得意な英語を活かせる職場が向いている

留学の経験があり、語学を学ぶ大切さをよく知っている

家庭教師や塾講師のアルバイト経験があり、教育業界でその経験を活かせる

しかし残念なことに、こういった強みが職場で発揮されることは一切ありません。そもそも英会話学校の社員に英語力は不要なのだそうです。


英会話学校の社員に英語力が必要ない理由とは?

それは、外国人講師をまとめているリーダーの講師が流暢な日本語をしゃべることができるからです。
日本語を話すことができない講師に対しては、そのリーダーを通じてコミュニケーションを取ればいいわけです。なおTさんは全く英語がしゃべれませんが、それでも何の支障もなく業務を遂行できていたそうです。


でも日本人スタッフと外国人講師が仕事でコミュニケーションをとる必要もあるのでは?

実はまったく必要がないそうです。


日本人スタッフにはカウンター営業や事務作業など膨大な仕事があります。外国人講師には授業があり、授業の合間も次の授業の準備などでせわしなく働いています。
ですから出勤時の「ハロー」と、業務終了後の「オツカレサマ」(ここは日本語)といった挨拶しかかわさないこともあるくらいです。


英会話学校であれば、塾などの講師経験が活かせますよね?

その経験は活かせません。
塾や英会話学校の講師は「商品」であり、スタッフは「営業員」と、立場がはっきり異なっているからです。


商品は丁重に扱われますが、営業員はノルマ達成のために馬車馬のように働かされるのがビジネス社会の常識であることを忘れてはいけません。
どんな商売においても最大のミッションは商品を売って売上をあげることです。英会話学校で言えば、日本人スタッフの最大のミッションは「ひとりでも多くの生徒を入学させること」になります。


英会話学校において日本人スタッフに求められる能力は、外国人講師と英語でコミュニケーションする力ではなく、日本人客に対する営業力なのです。


Tさんが経験した英会話学校社員生活の実態!

Tさんがその英会話学校のエリアマネージャーとして働いていた時は、会社からこんなことを求められていました。

・パンフレットをもらいにきただけの客を、どうやって入学までこぎつけるか。
・説明を聞いたものの入学を決められなかった客を、どうやってもう一度来校させるか。
・既に入学した生徒に対し、いかに高額なコースを契約してもらうか。


こうした売上に直結することのみを追求させられ、入社直後から「人を見たら金と思え」と叩きこまれたそうです。


厳しいノルマを達成するために、朝までロールプレイをすることも珍しくなかったとのこと。もちろんタイムカードは閉店直後に打刻させるため、残業代はつきません。
また顧客本位ではない強引な販売手法で高額なプランを契約させることが常態化していることから、顧客満足度は低く、クレームや解約も後を絶ちません。当然、解約になれば営業成績が下がりますので、必死に説得を試みなくてはなりません。時には説得のために何時間も費やし、契約者の家族へ電話して解約を考え直すよう促すこともあったそうです。
結局その会社は倒産したため、今では少し違っているかもしれませんが、仕事の内容や求められるスキルはどの英会話学校でも変わらないでしょう。


この仕事の内容では、得意の英語や塾の講師経験は活かせないですね……。

自己分析で「自分の強みは英語」と思って英会話学校の業界を選んでも、実際に配属された仕事では英語のスキルが求められていないのが実態です。


教育業の離職率は約45%!

厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況」によると、英会話学校を含む教育業の大卒3年未満での離職率は45.6%です。過酷と言われるアパレル業界よりも高い数値となっています。
先に例として取り上げたTさんの勤務していた上場企業では1年以内の離職率が80%を超え、店舗運営の影響を鑑みて、新卒者の入社時期を4月、6月、9月、12月の4回に分けていたそうです。つまり採用活動の時点で「新入社員は数ヶ月で離職するのが当たり前」という前提だったということです。


就活での業界・企業選びに自己分析は必要ない!

就職活動時に自己分析をしてみても、自分の強みを活かせる職場に配属されるとは限らないんですね……。

会社を選ぶのはあなた自身。しかしあなたの仕事の内容を決めるのは入った会社なのです。


就職先を絞るために自己分析をするのはやめましょう。自己分析は履歴書や面接のネタ作りにとどめておくのが正解です。


まとめ

  • 就職先の業界・企業を選ぶための自己分析ほど無意味なものはない。
  • 自己分析で見出したあなた自身が考えている「自分の強み」が、実際の仕事に活かせるとは限らない。むしろ不満につながりかねないことがある。
  • 会社を選ぶのはあなた自身だが、あなたの仕事の内容を決めるのは入った会社である。




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