【失敗しない就活の軸①】好きな業界から選ぶな
こんにちは!
「就活の軸」とは、業界や会社を絞る際の「自分なりの基準・条件」や「譲れない条件」のことです。
では、業界や会社の絞り方を考える時、どんな点に注意して就活の軸を決めればいいのでしょうか?
今回は「「好み」や「イメージ」を就活の軸にした業界選びの危険性」をご紹介します。
【関連情報】
【目次】
- 就活における志望業界の決め方でもっとも大切な条件とは?
- ありがちな業界の志望理由、そこに共通するものは?
- 【事例】「憧れ」をアパレル業界への志望動機にした場合
- アパレル業界の高い離職率の理由
- 不況真っただ中のアパレル業界の現状
- アパレル業界で本社勤務できる可能性は?
- アパレル業界でも学歴が優先される
- 業界を絞り込む際は「長続きする仕事」を軸にする
- まとめ
就活における志望業界の決め方でもっとも大切な条件とは?
夢を追いかけたい、世界で活躍したいなど、自分の動機から志望業界を選ぶ人が多いのですが、実は業界を絞り込むにあたりもっとも重視すべき条件は、「飽きずに長く続けられる仕事ができること」なのです。
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好きなら当然長く続けられるのではないですか?
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いえ、そうとも限りません。
なぜなら多くの就活生は、「その業界が好き」といっても、入社後に自分がどんな仕事に就くのか、しっかり把握していないからです
ありがちな業界の志望理由、そこに共通するものは?
業界の絞り方を間違えると、会社選びに失敗します。
例えば、下記は就活生によくありがちな業界の志望動機です。
洋服が好きなのでアパレル業界で働きたい
金融業界に就職して日本の経済を動かしたい
最先端技術で世界をリードするIT業界に入ってみたい
彼らに共通しているのは、「好み」や「イメージ」で業界を選んでいることです。特定の業界にスポットを当てた漫画やドラマからも少なからず影響を受けているかもしれません。
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しかし残念ながら、イメージ先行で業界を選ぶと失敗します
現実は漫画やドラマとはまったく違います。
主人公のように華々しく大活躍するなんてありえませんし、ましてや新入社員のうちは想像以上に地味でしんどい仕事の連続です。
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覚えておいてほしいのは「好きな業界であっても、自分に合う仕事でなければ続けることができない」ということです
【事例】「憧れ」をアパレル業界への志望動機にした場合
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学生時代から大好きなブランドに携わりたいので、アパレル業界を志望しています。本社勤務でブランドの宣伝担当ができれば、と考えています
GIRLSWOMANの調査によると、アパレル業界の志望動機でもっとも多かったのは「洋服が好きだから」(52.9%)で、次に「好きなブランドで働きたいから」(16.2%)となっています。
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アパレル業界は、全体の約70%にあたる3人に2人は「好きだから」という理由で就職していることが分かります
そして大卒者ともなれば、本社勤務を夢見ている人が大半でしょう。
しかしこの業界では、思い描いていたキャリアプランを達成する前に、離職者が後を絶たないのが現状です。
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厚生労働省によると、アパレルを含む小売業の大卒3年未満での離職率は39.3%で、全業種の平均32.8%に比べるとかなり高い数値を記録しています
アパレル業界の高い離職率の理由
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なぜアパレル業界の離職率が高いのでしょうか?
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それは「好き」だけではとうてい乗り切れない、過酷な労働環境が待ち受けているからです。
大卒でアパレル業界に就職したケースをご紹介します
【STEP1】本社勤務を夢見て総合職で採用
まず、総合職で採用されたとしても、いきなり本社勤務というのはありえません。すべての新入社員は販売員として店舗に配属されます。
【STEP2】販売員として店舗勤務→販売ノルマ
店舗勤務で待っているのは厳しい販売ノルマです。
店長から「優秀な販売成績を上げることが本社勤務への近道だ」といううたい文句で奮起を促され、ノルマが達成できなければその理由を厳しく問いつめられます。店長から叱られたくないため、必死になってノルマ達成を追うようになるでしょう。ノルマが達成できない月は自腹で商品を購入し、売上の穴埋めをするのは普通のことです。中には給与を全て購入に費やす人もいるくらいです。
【STEP3】店長へ抜擢→変わらぬ給料と増大する仕事量「名ばかり管理職」
販売員として2~3年経験を積んだ後、大卒者であれば店長や副店長に抜擢されるのが一般的です。早ければ1年未満で店長になれるケースもあります。
ところが給料はいくら肩書がつこうともほとんど変わりません。なぜなら「管理職手当「が支給される代わりに「残業代」がつかなくなるためです。
その一方で仕事量は一気に増えます。
これらのすべては閉店後に残業しておこなわねばなりません。
閉店時刻が夜の9時であれば、これらの業務を2時間おこなうだけで終業時刻は夜の11時です。棚卸の時期やセール前後はとうてい2時間で終わりません。そのため終電を逃すこともあるでしょう。
しかしタクシー代や宿泊代は自腹です。いわゆる「名ばかり管理職」が常態化しているのもこの業界の特徴と言えるでしょう。
【STEP4】それでも笑顔で接客の日々
どんなに体が疲れていても客の前に立てば笑顔で接客しなくてはいけません。
クレーム対応や、人手不足による休日出勤を余儀なくされることもあります。土日や国民の休日ほど忙しく、ゴールデンウィークに至っては長期の連勤が当たり前の世界です。
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でもこうやって頑張っていれば、本社勤務への道はひらけますよね?
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アパレル業界の厳しい現状を知れば、それは夢物語であることがよく分かるでしょう
不況真っただ中のアパレル業界の現実
総務省によると、一般の家庭が1年で衣服にかける費用は、2020年度で前年に比べて19.2%も減少しており、もっとも高水準だった2000年と比較すると、およそ50%まで落ち込んでいます。
その原因は、
・ファッションの流行が「カジュアル化」「低価格化」している
・メルカリなどのフリマアプリの台頭で古着を購入する若者が増えている
ことが影響しているのは明白です。
そして衣類が売れなければ経営が危なくなるのは当然です。帝国データバンクの調査によると上場しているアパレル企業のうち、2020年度の売上高について、減収となった企業は80%以上にものぼり、減収の幅が前年比30%以上の企業も複数社あるくらいです。大企業ですらそれくらい厳しいのですから、中小ではなおさらなのは言うまでもありません。
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不況の真っただ中にあるアパレル業界で、稼ぎ頭の販売員をわざわざ本社へ異動させるでしょうか?
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ますます売り上げが落ち込むことになるので異動はさせない、と思います
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その通りです。
つまりアパレル業界で「販売員として頑張れば、いつか本社へ異動できる」というのは、馬の鼻先にニンジンをぶら下げているにすぎないということです
アパレル業界で本社勤務できる可能性は?
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そもそもアパレル業界で本社勤務をしているのは、全社員のうちごく一部です。
また以下の要因も想定できます
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ずっと憧れてきた大好きなブランドの仕事をしたいと思ってきましたが、本社勤務のハードルは高いですね
アパレル業界でも学歴が優先される
その一方で大手企業になるほど学歴が優先されることはアパレル業界でも変わりません。
そのため、あなたよりも悪い成績しか残せない後輩社員が先に本社へ異動することも当然あります。
実際に誰もが知る超大手アパレル企業の役員の学歴を見れば一目瞭然で、国公立ないしは上位校の出身者がずらりと並んでいます。彼らが優先されて本社に移ったのは考えるまでもありません。
ですが「不公平だ」と文句を言っても無駄です。むしろ煙たがられて、ますます本社勤務が遠のくのは目に見えています。
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アパレル業界で憧れの職につくためには、販売員として激務をこなしながら優秀な成績をキープしたうえで、年に数枚あるかないかの本社勤務への切符を勝ち取る運の良さが必要ということです
業界を絞り込む際は「長続きする仕事」を軸にする
表面的には華やかな業界であっても、裏では大変な苦労が伴っています。
そのため憧れが強すぎると、実際に入社してから知る実態とのギャップに苦しむのは明らかです
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就職先を選ぶにあたっては、「どんな業界が好きなのか」ではなく、「どんな仕事なら長続きするのか」をベースに検討した方が良いことを忘れないでください
まとめ
- 好きな業界であっても、自分に合う仕事でなければ続けることができない。
- 志望業界を絞る際には、「憧れ」や「イメージ」ではなく「どんな仕事なら長続きできるか」を就活の軸にしよう。
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